こんにちは! 就労移行支援事業所CONNECTです。
「強迫性障害があっても自分に合う仕事はあるの?」「どんな働き方なら安心できるんだろう?」そんな不安や疑問を抱えていませんか。その気持ちはとても自然なことで、強迫性障害を抱える多くの方が同じように悩んでいます。ですが、強迫性障害には、こだわりの強さや丁寧さといった特性があり、そうした特性に合った仕事も少なくありません。
この記事では、強迫性障害の特性を活かせる仕事の例をご紹介します。
- 強迫性障害があり、現在の業務内容に悩みを抱えている人
- 強迫性障害があり、就職・転職活動を考えている人
- 強迫性障害のある同僚をサポートしたいと考えている人
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強迫性障害とは
誰もが「鍵閉めたかな?」「電気消したかな?」と不安になる時があります。その「気になる」が生活を邪魔するほど強くなってしまうのが強迫性障害です。
これは心の不調の一つで、真面目な性格だけが原因ではありません。脳の働きと関係していて、誰にでも起こりうる不安障害です。
強迫性障害の主な特徴
強迫性障害には、主に二つの特徴があります。一つは、頭から離れない「考え」、これを強迫観念と呼びます。もう一つは、その不安を打ち消すための「行動」、これを強迫行為と呼びます。
強迫観念
強迫観念は、頭から離れない考えやイメージです。自分では「違う」と分かっていても、何度も頭に浮かびます。
例えば、以下のような症状が出る人がいます。
・戸締まりの心配が頭から離れない
・火の元が何度も気になる
・誰かを傷つける不安がよぎる
・物の配置がずれると嫌な予感がする
どれも根拠がないと分かっていても、頭の中で繰り返され、とても苦しくなります。
強迫行為
強迫行為は、強迫観念からくる不安を消すための行動です。悪いことを防ごうと繰り返してしまいます。
例えば、以下のような症状が出る人がいます。
・戸締まりが心配で、何度も家へ確認しに戻る
・決まった手順や回数を守り、完璧にできないと最初からやり直す
・特定の言葉を心で繰り返す
・誰かを傷つけたのではないか心配になり周りの人や警察に尋ねる
これらの行動は、一時的に不安を和らげます。しかし、すぐにまた不安がぶり返し、行動を繰り返してしまう悪循環に陥りやすいのです。
強迫性障害は性格の問題ではありません。適切な治療や自分なりの工夫によって、その特性と上手く付き合い、日常生活を送りやすくすることは十分に可能です。
専門家のアドバイスを受けたり、自分の特性を深く理解することで、仕事や社会生活の中でその力を発揮できる道が見つかることも少なくありません。このコラムでは、そんな強迫性障害の特性を、どのように仕事の「強み」に変えていけるのか、具体的な例を交えながら考えていきます。
仕事で「強み」にも「課題」にもなる、強迫性障害の主な特性
強迫性障害には、仕事の中で活かされる特性がいくつか存在します。
一方で、それらの特性が負担やストレスの原因になることも少なくありません。
ここでは、代表的な特性を整理してみましょう。
・こだわりの強さ
・責任感の強さ
これらの特性は、丁寧さや正確さを求められる場面では大きな力になります。細かなところまで気を配り、仕事をやり遂げようとする姿勢は、信頼につながることも多いでしょう。
一方で、そのぶん作業に時間がかかったり、自分を追い込みすぎたりする傾向も見られます。ときには、周囲とのペースの違いや、完璧さを求めるあまりの疲れが課題になることもあるかもしれません。
そのため、こうした特性を否定するのではなく、安心して力を発揮できる環境を整えていくことが大切です。
強迫性障害の特性が活きる仕事・適職7選
特性を「強み」に転換する視点
強迫性障害のある人の特性は、仕事の場面で強みとして活かされることがあります。たとえば、几帳面さやこだわりの強さ、正確性への意識などが、特定の業務で評価されることもあるのです。
ここでは、そうした特性が活きやすい仕事を7つ紹介します。
仕事選びの参考として、「得意なこと」や「安心できる環境」に注目してみてください。
几帳面さ・正確性が強みになる仕事
集中力や丁寧さが求められる仕事では、強迫性障害の特性がプラスに働くことがあります。細かな確認作業が苦にならない人には、特に向いている分野です。
経理・会計
数字を扱う業務ではミスの少なさが特に求められます。日々の伝票処理や月末決算、年次報告など慎重さが必要な場面が多くあります。細かい確認を何度も繰り返すことが評価されるので、こだわりや正確さを活かして安定した成果を生み出すことができる仕事です。また、業務の流れやルールを理解し徹底する力も、経理の仕事では大きな強みとなります。
データ分析・リサーチ業務
情報を収集して整理し、傾向や規則性を見つける仕事です。細かい違いに気づく力や、一つのテーマを深く掘り下げる姿勢が分析の精度を高めます。粘り強く調査を進めることで価値ある結論を導き、探究心やこだわりを活かして専門性の高い成果を出せます。情報の関連性を整理して分かりやすく伝える力も重視される仕事です。
校正・編集者
文章の誤字脱字や矛盾を見つけ整える仕事です。細部まで目を配る注意力や丁寧さが武器になり、文章表現の微調整にも粘り強さを活かせます。完成度の高い文章を作るために集中力を発揮すれば、細部まで確認を重ねることで読者にわかりやすく伝わる文章を提供できます。また、複雑な文章構造や情報の整合性を見極める能力も求められるので、そういったことが得意な方におすすめです。
探究心やこだわりが評価される仕事
「気になって仕方がない」感覚が、質の高い成果につながる仕事もあります。人一倍の観察力や粘り強さが、強みとして活かされやすい分野です。
品質管理・検査
製品や書類をチェックし、基準に沿って評価する仕事です。繰り返しの確認や慎重な姿勢が必要で、「細かすぎる」と思えるこだわりも強みになります。丁寧な作業で品質を守ることは職場や顧客の信頼につながり、粘り強く基準に沿った確認を重ねることで高い成果を出せます。さらに、問題点を見つけ改善提案につなげる観察力も発揮できるでしょう。
プログラマー・テスター
コードの正確性やバグの発見には集中力と注意力が必要です。細かい調整や検証作業に、こだわりや根気強さを活かすことができます。丁寧に確認を重ねることでトラブルを未然に防げば、品質向上に貢献できます。問題解決の過程でも集中して粘り強く取り組めるため、仕様に沿った正確なシステムを作る力が強みとなるでしょう。
ルールや手順が明確で安心できる仕事
決められた作業手順に従って進められる仕事は、不安を感じにくく、安心して取り組みやすくなります。環境が安定していることも、働きやすさにつながるポイントです。
データ入力
決められたルールに沿って情報を正確に入力する仕事です。黙々と作業する時間が多く、集中力や丁寧さを活かせます。また、一人で落ち着いて作業できる環境で、不安を感じにくく安心して取り組みやすいことも利点です。正確さや慎重さを強みに、安定して高い成果を出すことができ、長時間の作業でも集中力を保つ力が活かされます。
倉庫管理・軽作業
マニュアルに従って作業を進める仕事で、手順が安定しており安心して働けます。同じ作業を繰り返す中で集中力を発揮でき、周囲との会話が少ない環境で落ち着いて取り組めます。丁寧に手順を守る姿勢が強みとなり、安定して成果を出しやすく、安心感を持って継続的に働きやすい点がおすすめです。さらに、作業効率を上げる工夫や整理整頓の意識も役立ちます。
仕事選びと働き方のコツ
適職に就くことは大切ですが、それだけで長く働き続けられるとは限りません。強迫性障害の特性を持つ人にとっては、「どこで・どう働くか」が大きな意味を持ちます。
ここでは、働き続けるための環境選びと、日々の働き方の工夫について解説します。
職場環境選びのポイント
安心して働ける職場には、いくつか共通する特徴があります。たとえば、業務の手順やマニュアルが明確であれば、見通しが立ちやすくなります。
また、在宅勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方が可能な職場も選択肢の一つです。
さらに、パーテーションのある作業スペースなど、集中しやすい環境が整っているかも確認しておきたいポイントです。
実践したい働き方の工夫とセルフケア
働き方の工夫によって、心の負担を減らすことができます。
完璧主義に陥りやすい場合は、上司に「どこまでやれば十分か」を確認しておくと安心です。自分の中で「80%でよし」と決めることも、過剰な負担を避ける助けになります。
また、ToDoリストやタイマーを活用し、確認作業にかける時間を意識的に区切ると効率的です。
休憩をこまめに取ったり、気軽に相談できる相手を見つけておくことも、継続的に働く上で欠かせません。
オープン就労という選択肢
自分の特性を伝えたうえで働く「オープン就労」も、選択肢の一つです。職場に障害を開示することで、配慮を受けながら働ける可能性が高まります。障害を周囲に公開しないクローズ就労と比べて、情報共有がしやすくなるという利点もあります。
どちらの働き方が合うかは人それぞれなので、自分に合った選択を大切にしてください。
就労移行支援ができること
就労移行支援とは
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方が利用する通所型トレーニングサービスです。利用期間は原則2年間で、専門の支援員と一緒にじっくりと準備を進める仕組みとなっています。
まずは見学や体験を通じて、自分に合ったプログラムを選び、段階的にスキルを身につけていきます。
就労移行支援の具体的なサポート内容
支援員との面談で、自分の強みや課題を客観的に把握していきます。パソコン操作やコミュニケーション、ストレス対処法などのビジネストレーニングを受けられます。
就職活動に向けては、応募書類の添削や面接練習のサポートがあり、企業インターンや職場実習の機会も提供されます。
さらに、就職後も定期的な面談を通じて、職場での悩みや困りごとを相談できます。
強迫性障害の方が就労移行支援を活用するメリット
障害への理解がある安心できる環境で、就職準備に集中することが可能です。
自分のこだわりや特性を強みとして活かせる仕事を、支援員と共に探し出すことができます。小さな課題をひとつずつクリアしながら成功体験を積み、自信を取り戻せる点も魅力です。
また、同じ悩みを持つ仲間と出会い、気持ちを共有することもできます。
【関連記事】強迫性障害の方が安心して通える就労移行支援とは?事業所選びのコツを解説!▶
就労移行支援CONNECTとは
CONNECTは精神・発達障害者の支援に特化した就労移行支援事業所です。関西・関東で12か所の事業所を運営し、通所が難しい方のためにオンラインコースでの支援も行っています。
CONNECTには精神・発達障害者の就職支援に特化した専門スタッフが多数在籍。個人の特性に合わせた訓練プログラムや実習のマッチングが可能です。就職後もしっかりサポートを行うので、87%という高い職場定着率を実現しています(2020年度実績)。
施設内訓練はオリジナルの就職プランだから一切無駄がない
サービスは4つのコースに分かれており、あなたの課題に合った、必要なプログラムを提供します。
ライフスタビリティコース
体調と生活リズムの安定を目指すコースです。「毎日決まった時間に出社できる」という、就職に最も大事な力を身に着けます。
ビジネススキルコース
仕事に必要な対人能力、マナー、作業能力をはもちろん、企業への配慮事項など、就職に必要なあらゆるスキルを身に着けます。
キャリアデザインコース
仕事ができれば何でも良いわけではありません。仕事とプライベートを充実させ「幸せに過ごす」ためにビジネスライフを設計します。
リクルートコース
採用を勝ち取るためのノウハウを伝授します。応募する企業の決定から、書類の作成、面接対策までスタッフがしっかりサポートします。
上記のプログラムに加えて、企業実習・インターンの実施や就職後の定着支援も行っております。
「自分の適職がわからない」「職場でうまくやっていける自信がない」など、あなたの悩みをぜひお聞かせください。
まとめ
では、最後にこの記事のおさらいです。
- 正確さや几帳面さが求められる仕事では、強迫性障害の特性が強みとして発揮されやすい
- 業務手順やルールが明確に定められている職場は、不安を感じにくく働きやすい
- 静かで自分のペースを保てる環境は、集中力を維持しやすく安定した就労につながる
- 就労移行支援事業所では個人の特性に合わせた訓練や実習を提供できる
強迫性障害があっても、あなたの力を必要としている場所はきっと見つかります。もしも悩みが長引くときは、専門家に相談したり支援を利用したりすることも、ひとつの方法として覚えておいてください。