こんにちは。枚方事業所の石川です。
就労移行支援事業所の利用を検討し始めたとき、「今の体調で毎日通えるだろうか」「入所したらすぐに就職活動をさせられるのではないか」と不安に感じる方は非常に多くいらっしゃいます。
長期間の離職によるブランクがある方や、メンタルヘルスの不調で退職を経験した方ほど、「早く働いて自立しなければ」「周りに置いていかれている」という強い焦りを感じやすいものです。
しかし、就労移行支援において最も大切な最初のステップは、履歴書を書くことでも面接の練習をすることでもありません。まずは「安定して事業所に通うリズム」を作ることです。
今回は、焦って就職活動を始める前に、なぜ「通所リズムの安定」に専念するだけで良いのか、その理由と就労に向けた心構えについて解説します。
「早く働かなければ」という焦りがもたらす悪循環
うつ病や発達障害の特性による生きづらさを抱えている方の多くは、非常に真面目で責任感が強いという特徴を持っています。そのため、休養中であっても「休むことへの罪悪感」を抱きやすく、心が完全に回復しきっていない状態でも無理に動き出そうとしてしまいがちです。
焦って就職活動を始めると、以下のような悪循環に陥るリスクが高まります。
1. プレッシャーによる体調の悪化
心身のエネルギーが十分に充電されていない状態でプレッシャーのかかる環境(面接や新しい職場)に飛び込むと、強い不安や疲労感を引き起こし、結果的に症状を悪化させてしまうことがあります。
2. ミスマッチによる早期離職
焦りから「とりあえず受かったところに行く」「条件だけで選んでしまう」といった行動をとりやすくなります。自分の特性やストレス耐性を客観的に理解(自己理解)できていないまま就職すると、職場環境と合わずに再び早期離職を繰り返してしまう原因になります。
3. 自己肯定感のさらなる低下
「また長く続けられなかった」「自分はやはりダメなんだ」という挫折体験は、心の傷(トラウマ)となり、次のステップへ進む気力を大きく奪ってしまいます。
就職を長続きさせるための土台は「生活リズム」
企業が障害者雇用などにおいて最も重視しているのは、実は「高いパソコンスキル」や「優れたコミュニケーション能力」ではありません。「毎日決まった時間に、安定した体調で出勤できるか」という点です。
どれほど優れたスキルを持っていても、体調の波が激しく欠勤が続いてしまうと、業務を継続的にお任せすることが難しくなってしまいます。
就労移行支援事業所に通うことは、この「安定して出勤する」ためのリハーサルでもあります。 朝決まった時間に起きる、身支度を整える、公共交通機関に乗って事業所へ向かう。そして一定時間、決められたプログラムに取り組んで帰宅する。 この一連の流れを、無理なく、そして過度な疲労を溜めずにこなせるようになること自体が、就職に向けた立派な「トレーニング」なのです。

スモールステップで「できる」を積み重ねる
「安定して通う」といっても、初めから週5日、朝から夕方まで通う必要は全くありません。
就労移行支援では、お一人おひとりの体調やペースに合わせた「スモールステップ」を大切にしています。 最初は「週に1〜2回、午後からの通所」や「午前中の1時間だけ参加する」といった無理のない目標からスタートして構いません。
重要なのは、通う日数や時間の長さではなく、「決めたスケジュール通りに通えた」という実績と安心感を積み重ねることです。 「今日は予定通りに通所できた」「少し疲れたけれど、半日頑張れた」という小さな成功体験の積み重ねが、低下してしまった自己肯定感を少しずつ回復させ、やがて「働くこと」への自信へと繋がっていきます。

焦らず自分のペースで進めるために
事業所に通うリズムが整ってくる過程で、少しずつ自己理解を深めるプログラムや、ご自身のストレスのサイン(トリセツ)を知る作業へと移行していきます。 「自分が何に対して疲れやすいのか」「どのような環境なら力を発揮できるのか」を、支援員と一緒に対話を繰り返しながら見つけていきます。
まとめ
就労移行支援は、単に就職先を見つけるだけの場所ではありません。「長く、自分らしく働き続けるための心と体の土台を作る場所」です。
「まだ働く自信はないけれど、まずは生活リズムを整えたい」「外に出る練習から始めたい」という動機で全く問題ありません。焦らず、まずは「通うこと」だけを目標にしてみませんか?
もし、「今の自分の状態でも通えるだろうか」「少しだけ話を聞いてみたい」と思われましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。ご自身のペースで、ゆっくりと次の一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。





