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発達障害は大人になってから気づくことも!大人の発達障害について徹底解説

2021.10.08

病気・障害の特性

こんにちは!就労移行支援事業所CONNECT豊中の成川です(^^♪

この記事では「大人の発達障害」について解説します。

  • ・大人の発達障害って最近よく聞くけど何なの?
  • ・どんな種類があるの?
    という疑問について解説してみました!

 

  • ・「大人の発達障害」について知らない方
  • ・自分は発達障害だと感じている方
  • ・身近(職場など)に発達障害の方がいる方
    に参考になると思いますので、是非最後までお読みください。

大人の発達障害とは

大人の発達障害とは文字の通り大人になってから診断される発達障害のことです。前提として発達障害は脳機能の障害であるため、大人になってから後発的に発症するものではありません。学生時代には大きな問題にはならずに過ごすことができていたけれど、仕事を始めて問題が浮き彫りとなり発達障害を自己認識をする、医師から診断を受けて発覚するというケースが多くあります。

大人の発達障害の種類

前述の通り発達障害は脳機能の障害であるため、基本的には子供と大人で障害の特性が変わることはありません。ただし、大人になり複雑な人間関係や責任のある仕事を課されるなど、生活環境が変化することでその特性が顕著に現れる場面が増えます。
次に発達障害の主な種類と、それぞれの仕事の場面で直面しやすい症状について説明します。
発達障害の種類について詳しくはこちら

自閉スペクトラム症(ASD)

対人関係の質において問題を生じる「社会性の問題」、意思疎通が正しくできない「コミュニケーションの問題」、次に何が起こるかといった想像が難しい「想像力の問題」により、自分が安心できるルールや環境に固執しやすい「過度なこだわり」といった特徴があります。
仕事面での困りごとは

  • ・一つのことにこだわって仕事が先に進まない
  • ・悪意がないのに周りの人を怒らせてしまう
  • ・抽象的な指示が理解できない
  • ・臨機応変な行動が苦手
  • ・感覚過敏や感覚鈍麻
等が挙げられます。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

注意欠陥・多動性障害は、不注意(集中力がない)多動性(じっとしていられない)衝動性(順番を待てない)の3つの要素が見られる障害のことです。ADHDは「不注意優勢型」「多動・衝動性優勢型」に分けられます。「不注意優勢型」は忘れ物・落とし物をしやすかったり、片付けが苦手だったり、段取りが悪く時間通りに進められず遅刻が多かったりします。「多動・衝動性優勢型」は順番を待てない、人の発言に割り込む、一方的に喋る、深く考えずに咄嗟に判断・行動しすぎる等の特徴がみられます。

仕事面での困りごとは

  • ・ケアレスミスが多い(不注意)
  • ・計画的にできない(優先順位をつけて、段取りよく進められない)
  • ・思いついたことをすぐに言いたくなり、人の話に割り込んでしまう
  • ・単純作業に飽きてしまう
  • ・アイデアを形にすることが苦手   等

学習障害(LD)

学習障害は、知的または聴覚、視覚の問題がないにも関わらず、「文字を読む、書く、話を聞く、話す、計算する、理論的に考える」という能力の一部が著しく苦手という特徴がみられる発達障害の一つです。決して「勉強ができない」障害ではありません。種類としては、文章を読む力が弱い「読字障害(ディスレクシア)」、文字を書くことが苦手な「書字障害(ディスグラフィア)」、計算が苦手な「算数障害(ディスカリキュリア)」などがあります。
仕事面での困りごとは

  • ・マニュアルを読んで進めることが難しい
  • ・メモを取ることが難しい
  • ・計算を使う業務が難しい   等

大人の発達障害の診断方法

発達障害の診断は、精神科や心療内科などで受けることができます。ただし全ての病院・クリニックで可能であるわけではないため、事前に問い合わせすると良いでしょう。
診断は時間をかけて相談者との面談や検査を行いながら、総合的に判断します。

問診

発達障害の特性は子供の頃から存在しているため、幼少期や学童期の情報がとても重要です。両親や兄弟、職場の方、配偶者等からの情報があれば診断に有用です。

心理検査

心理検査とは、精神障害・発達障害・知的障害の疑いがある人に対し、病院で医師が実施を判断し、主に臨床心理士が実施する検査です。

主な種類として性格検査発達検査があります。性格検査は性格の様々な側面を見るために行う、絵を描く、文章を書く、アンケートに答える等といった種類の検査です。発達検査は様々な種類の能力(脳の働き)を個別に査定する検査です。次に代表的な発達検査について解説します。

WAIS-Ⅲ/Ⅳ(ウェクスラー式成人知能検査)

16歳以上の場合によく用いられる検査です。所要時間は2時間程度です。この検査は「言語性IQ」「動作性IQ」から成り立っています。言語性IQは、口頭で質問されたことに口頭で答えるもので、言葉の知識や思考力などをみます。動作性IQは、絵や記号などを使って質問に答えるもので、視覚的、空間的な情報処理能力をみます。この2つのIQにバラつきがあるかどうか(有意差)で発達傾向のあるなしを見ることができます。また、これら11種類以上の検査結果をもとに①言語理解②知覚統合③注意記憶④処理速度の群指数を求めます。4つの群指数が平均的で、ほぼ一直線のパターンであれば正常範囲とされます。各指数間に大きなバラつきがみられる場合は、発達面に偏りがあるとみられます。

WAIS-Ⅲ/Ⅳ以外にもMSPA(発達障害の特性の程度と要支援度の評価尺度を図る検査)や質問紙法(ASQ・CAARS)といった心理検査もあります。医療機関によってどの検査を行うか様々です。いずれも検査の実施前に説明がありますので、安心してください。

※MSPAと質問紙の実施の有無は病院によります。主治医の方針で性格検査と併せて検査することもあります。

大人の発達障害の治療方法

大人の発達障害の治療方法として「薬物治療」「SST」があります。それぞれについて説明します。

なお、発達障害は先天的な脳機能の「特徴」であるため、根本的に「治す」ことはできません。従って症状の完治を目指すのではなく、前述した薬物治療やSST等を通じて生活上の不適応を軽減し、「生活しやすくなる」よう緩和していくことが目的となります。

薬物治療

環境調整・支援・精神療法を行い、必要に応じて薬物治療を行います。ただし薬物治療はあくまで生活を改善するための補助的な手段です。ADHDの治療薬はストラテラコンサータインチュニブの3種類があります。注意力を高めたり、落ち着きを取り戻したりする効果があります。ASDに関してはエビリファイリスパダールというお薬が18歳までの子ども向けにあります。

SST(ソーシャルスキル・トレーニング)

ソーシャルスキルとは様々な社会的場面におけるスキルのことを指します。そのスキルの獲得や改善、伸長を目的とした、認知行動療法をベースとした訓練法のことをソーシャルスキル・トレーニングと呼びます。医療機関だけでなく、就労移行支援事業所をはじめとする就労支援の場でも受けることが可能です。
例えば職場のコミュニケーションでよくある「残業を上手に断りたい」「迷惑にならないよう質問したい」等といった特定の状況を設定し、その場での適切な対処法を考えます。実際にそのような場面に遭遇した時に対処できるようになることが目的です。
手本を真似する「モデリング(模倣学習)」や役割を決めて演じる「ロールプレイ」といった方法がよく用いられます。

職場での発達障害との関わり方

ご自身で発達障害を自認あるいは疑いを持ち、悩みを抱えている場合は、まずは速やかに医療機関に相談し、医師の助言を仰ぐことをおすすめします。それを大前提としたうえで、以下のような場合に職場でできる対処法をご紹介します。

自分が発達障害と感じる場合

自分が困っている点を整理する

まずは自分自身が仕事上でどんな症状や特性により困っているのかを理解することが重要です。自分自身が特性を十分に理解できているか否かによって、職場の方への伝え方も大きく変わってきます。整理する際はなるべく具体的に書き出してみましょう。
例:聴覚過敏がひどく、少しの物音がするだけでイライラしたり、ぐったり疲れたりしまうことがよくある。

自分なりに対処法を考えてみる

特性の整理ができたら次はそれらに対する自分なりの対処法を考えてみましょう。同じ特性であっても人によって対処の仕方は異なります。自分に合ったものを見つけておけると安心です。
例:可能ならなるべく人の少ない場所や外の音が聞こえにくい場所に移動して作業をする。

自分で対処できないことへの配慮を中心に、周りの人に相談する

どうしても自分の力だけでは対処できないことに対しては、周りの人に相談し、必要な配慮を求めましょう。その際も「どんな場合に、どうしてほしいのか」が明確に伝わるよう、より具体的な内容を伝えることがポイントです。
例:PC作業の際、周囲の雑音が気になると集中できないため、ヘッドホンの着用を許可してほしい。

周りの人が発達障害かもしれない場合

まずは気持ちに寄り添って話を聞く

「障がいだから」といって難しく考えたり構えたりするのではなく、働く仲間として、まずは本人の話に耳を傾けましょう。「何か困っていることはない?」と声掛けをすることで、本人も悩みを打ち明けやすくなるはずです。誰かに悩みを聞いてもらえるだけでも楽になることも多分にあるでしょう。本人たちは「やりたくてもできない」葛藤を抱えています。それを理解し、一緒に解決策を考えることが必要です。

今困っている点を整理する

本人の話を聞くことができたら、紙に書き出すなどして状況の整理をサポートすることも効果的です。一人でまとめるよりも誰かと一緒に行う方が安心感があります。また、他者の視点を取り入れることでより明確で具体的な理解へとつながります。

職場として可能な範囲で配慮できることを一緒に考える

本人の仕事上での困っている点を整理できたら、職場の人たちの無理のない範囲でできることを一緒に考えましょう。
例えば

  • ・できない仕事を別の仲間がサポートして、本人には別の仕事を振る
  • ・本人の集中しやすい環境を作る
  • ・マニュアルやテキストを作成する   等

 

発達障害の方が働きやすい職場にするためには、大人の発達障害の特性を理解して適切な配慮を行うことが必要です。しかし職場にも配慮できることには限界があります。お互いの配慮を押し付け合うのではなく、本人と企業が話し合いをしっかりと行い、「働きやすい」環境を一緒に作っていく姿勢がとても大切です。

まとめ